きみは、わたしの名前を呼んではくれない。
「ほんとに、すき……?」
「すきだよ」
尋ねると、そう言って彼が、無邪気に笑ってくれたから。
「……うん、わたしもすきだ」
「それは知ってる」
惚れた弱みということで、そのせいいっぱいの愛の言葉を信じてあげようと思う。
「……仕方ないから、これからも名前、呼んであげる」
「うん、僕も負けないくらいミツキって呼んであげる」
わたしも彼の背中に手を回してぎゅっとすると、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「コウくん、わたしの名前、知ってたんだね」
「当たり前でしょ、そのピアスだって名前から選んだんだから。
ーー“美月”っていう、綺麗な名前から」
Fin.
(ところで聞いて欲しいんだけど、リサって妹なんだよね)
(ええっ⁉ ごごご、ごめんなさい…)