大切なものはつくらないって言っていたくせに
アパートをノックすると、遥は相手が誰かも確認せず扉を開ける。
また、こいつは不用心に、、、と一瞬また口うるさいオヤジの気分でムっとしたとたん、遥は無防備すぎる風呂上りの姿で現れ、ドキっとする。
ノーメイクは見慣れているが、ほかほかにあったまった遥の頬っぺたは赤く、濡れた髪を無造作にタオルで巻いて、長いロングTシャツを一枚ダボっと着ているだけだけだ。
「・・・・おまえはさ。。」
「?」
俺はため息をついて、目をそらす。
「いくらなんでも、それは無防備すぎるだろ。それに、俺が来るってわかってたとしても、すぐに扉を開けるんじゃない。」
遥は、いつものようにうるさいオッサンだな、、、みたいな迷惑顔で「はいはい。」と二度返事をする。
「返事は、一回。」
「はい。」
遥は、ちょっと笑って「待って、今、持ってくるね。」
そのクスっとした笑顔に、もう俺の理性はここで崩れたようなものだった。
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