今度こそ、練愛

展示会の開催期間は二日間、即売を兼ねているため交替で会場に来ることになった。
私の当番は二日目の午後、午前中の仲岡さんと交替して会場に入る。



お客さんの入りはぼちぼちといった印象。飛ぶように売れるというわけにはいかないけれど、花を愛でて表情の緩むお客さんを見ていたら気持ちが和む。



店の閉店後に高杉さんと岩倉君が撤去の手伝いに来てくれるというから、とくに身構えることもなく過ごしていた。



ところがひとつ売れ始めると、他のお客さんにも派生して次々と売れるものらしい。急に押し寄せたお客さんの波に溺れそうになりながらも、なんとかこなしていく。
今日が展示会終了日だというのも影響しているのだろうか。



すっかりお客さんの波が引いて閉店近くなった頃、会場のドアを開けたのは山中さん。
もちろん手には紙袋を下げて。
店に来る時よりも優しい、私にだけ見せてくれる笑顔で。



「お疲れ様、大盛況だね。急に数が減ったな」

「いいタイミングに来られましたね、少し前まですごいお客さんが来て大変だったんですよ」

「もっと早く来ればよかった?」

「早く来てほしかったけど、来てくれただけで嬉しいです」



言いながら自分でも恥ずかしくなって、ふいと目を逸らした。山中さんの手が私の頬を包み込む。



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