今度こそ、練愛

「何を弱気になってんのよ、そんな大ウソ吐いたくせに……、昨日結婚した友だちは自分から積極的に飲み会に参加して、取引先の人に猛アプローチして結婚だもん。私も見習わなきゃ」



前向きな花奈の言葉を聞いても気持ちが浮上する気配はない。



「自分からって……、そんなの無理。フラれた時が情けないじゃない」

「お姉ちゃん、いい加減に目を覚ましたら? 待ってても何にもいいことないよ? 待ってた結果が今のお姉ちゃんでしょう?」



花奈は的確に私の弱っている場所を突き刺す。
綺麗にマスカラを塗り終えた花奈が、ベッドの上で口を尖らせて私を見据えてる。



きっと私にイライラしてるはず。



「そうだね、花奈の言う通りだよ」

「でしょう? 果報は寝て待ては私たちには当てはまらないのよ」

「じゃあ、どういう人に当てはまるの?」

「昨日の出席者に、新婦の高校の同級生でお嬢様がいたけど、既に許婚がいるんだって。そういう子は苦労しなくても親が良い人を見つけてくれるから、ガツガツしなくていいと思うよ」

「ふぅん……、家柄? だったら無理ね、もう少ししたら考えるよ」

「リミットまで一年なんだから急ぎなよ、お母さんたちには黙っててあげるから」



ダメージの大きな言葉を吐いて、花奈はくすりと笑った。


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