鬼部長と偽装恋愛はじめました
部長の家を知らない私は、業者のトラックで一緒に向かった。

ごく普通のマンションを想像してたのに、着いた場所は駅前の高級タワーマンションだ。

「ここが部長の家……?」

呆気に取られて建物を眺めていると、エントランスから出てきた部長が、業者の人に挨拶をしたあと私を迎えにきてくれた。

私服姿の部長は初めてで、つい目が止まってしまう。

ネイビーのシャツに、濃い同系色のパンツスタイルで、シンプルなコーディネートなのに、垢抜けた雰囲気をみせていた。

こうやって改めて見ると、部長ってかなり男前んだ……。

「香奈美、こっち。とりあえず、中に入ろう」

「は、はい。あの、本当にすみません。ご迷惑をおかけして……」

部長に腕を引っ張られ、中に入った私は、思わず足が止まる

マンションのロビーはホテルさながらの大きさで、明るくシックな雰囲気だ。

黒色の革張りソファーとローテーブルのセットが三組、置かれている。

「おい、そっちは待ち合い用のスペースで、エレベーターはこっち」

「は、はい」

眉間にシワを寄せている部長にビクビクしながら、エレベーターに乗り込んだ。
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