鬼部長と偽装恋愛はじめました
夕食を終えた私たちは、そのまま帰ることにした。

佐原さんがタクシー乗り場まで送ってくれ、お別れをする。

「じゃあ、香奈美ちゃん元気で」

「はい。今日は、本当にありがとうございました。佐原さんもお元気で」

窓越しに手を振りタクシーが走り始めると、時間を腕時計で確認した。

時刻は二十二時で、祐平はまだまだ会社にいる時間だ。

今までも、祐平の深夜残業なんて何度もあったのに、気にしたことはなかった。

だけど、今はこんなに遅くまで仕事をする祐平の体が心配になったり、なにか手伝えたらいいのにと思ったり、とにかく祐平のことで頭がいっぱいになる。

会いたい気持ちが募っていき、マンションへ帰っても、ひとりぼっちの寂しさを感じていた。

いつの間に、こんなに好きになっていたんだろう。

明日は土曜日で、祐平も仕事は休み。

ゆっくりできるだろうから、ふたりでいたい……。
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