四百年の恋
 真姫は、福山なる男子学生が名前を呼ばれた順番に着目した。


 三年生、四年生、院生が全て終わってから名前を呼ばれた。


 順序的には、「聴講生(ちょうこうしゃ)」の身分と推測される。


 正式な学生ではないけれど、聴きたい講義などがあって担当教官の許可が下りれば。


 一般の学生に混ざって授業を聴くことができる。


 通常は主婦の人や高齢者が多いのだけど。


 福山という聴講生は、どう見ても自分たちと同年代のようだと真姫は感じた。


 (社会人なんだろうか。でも平日の昼間から、大学の授業に出席できるなんて。シフト制とか、平日休みの仕事なのかも)


 そして、名字が福山。


 これから学ぼうとしている戦国大名・福山家と同じ名字。


 芸能人にもある名前だし、別に珍しくない名前。


 なのに……。


 真姫は不思議なくらいに、彼のことをあれこれ考えていた。
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