四百年の恋
 その後言及されたのが。


 「指摘魔」だということ。


 授業中、教師が何か間違った説明をしたら。


 即座に指摘が飛んでくるらしい。


 オール5、「学園始まって以来の天才」と称されるほどの頭脳の持ち主。


 教師陣を凌ぐほどの知識を有しているようだ。


 「確かに厄介ですね。授業中こっちも緊張が高まりますね」


 「教師をからかっているんですよ」


 ベテラン教師が、やれやれ、といった表情を浮かべる。


 「あと彼の親が、」


 別の中堅教師が喋り出した途端、周囲のベテラン教師から無言の圧力が加わったようで、話を中断してしまった。


 「親が……、どうかしたのですか?」


 「いや、これは関係ないことでした」


 急に口をつぐんでしまった。


 「まさか、最近社会問題化している、モンスターペアレントとか?」


 「いやいや違います。彼の母親は全く学校には無関心で。一流校で好成績を取っていれば、それだけでいいみたいなんです」


 「……」


 圭介には今ひとつ解らなかった。


 清水優雅という生徒が。


 確かに扱いづらそうだが、目くじら立てるほどの問題児でもなさそうなのに。


 なぜか彼を、腫れ物に触るように扱う教師陣。


 (まだ何か、秘密がありそうだな)


 圭介は直感した。


 だがまだ新学期が始まったばかり。


 しばし静観することにした。
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