四百年の恋
 まず一人目。


 「やだー! 顔が縦に伸びていくよ!」


 顔が伸びるというよりも、髪の毛の辺りが膨張し始めていた。


 やがて髪型がちょんまげになり……。


 「あれ? 男だよ?」


 彼女の判定結果は、江戸時代の勤勉な商人……と出た。


 寝るときもソロバンを離さなかったと。


 「だから今でも、数学が得意なのかな?」


 「今が女だからって、前世も女だとは限らないんだね」


 続けて二人目が、百円を投入した。


 顔の撮影を終了すると、変形し始める顔面……。


 「やだー。顔が大きくなる」


 彼女の前世は「ヴァイキングの男」だった。


 「征服先で残虐行為を繰り返したが、後に悔い改め教会で修道士になったんだって」


 「ヴァイキングか。日本人とも限らないんだね」


 三人目は美月姫。


 前の二人が想定外の前世が提示されたので、自分はどうなるか興味津々だった。


 「お姫様とかならいいな。人間以外の物体になったらどうしよう」


 うきうきしながら結果を待った。


 前の二人ほどは、異常な顔面崩壊は起こらず……。
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