四百年の恋
 「なら今度俺の車、運転してみるか? オートマだから楽だろ?」


 「え、いいんですか」


 何か提案すると、たちまち咲き誇るような笑顔を見せる。


 その笑顔を見たくて、つい圭介は美月姫を誘ってしまう。


 このままではまずいと、心のどこかでは気づいているはずなのに。


 最初は家まで送るだけだった。


 それが寄り道して食事などをするようになり、買い物にも連れて行った。


 徐々にエスカレートして来ている。


 ……。


 「なんか怖い!」


 美月姫は圭介の車のハンドルを握り、アクセルを踏み込んだ。


 運転に慣れていないので、時速40時キロ程度のスピードでも猛スピード。


 F1レーサー気分。


 「大丈夫だ。直線は長いから、もっとアクセル踏んで」


 助手席から圭介が声をかける。


 (いざという時にはサイドブレーキを引けるとはいえ、正直怖い)


 教習所の専用カーとは違い、万が一の際に踏めるブレーキは助手席側には設置されていない。


 美月姫が問題なく、運転をしてくれれば……。


 ここは、浜辺の駐車場。


 夏休み中とはいえお盆前の平日の昼下がりなので、海から最も離れたこの駐車場に他の車は停まっていなかった。


 事故を起こす心配もないので、この駐車場で美月姫の運転トレーニングをすることにした。
< 520 / 618 >

この作品をシェア

pagetop