四百年の恋
身分の低い者たちにも、分け隔てなく接し、慕われ。
その華麗なる容姿で、城の女たちを虜にして。
生まれもった施政者としての才覚も確かなもので、時には冬雅を驚かせるような提案をしたり。
冬悟が次期当主になれば福山家は長らく安泰であろうと、誰もが信じてやまなかった。
誰もが冬悟を愛していた。
蝦夷地のどんな長い冬をも乗り越えていけるような、その優しい笑顔。
……冬悟は冬雅が持っていないものを、数多く持ち合わせていた。
人間的な魅力は、弟のほうが上であることを冬雅は、認めざるを得なかった。
それゆえつらかった。
嫉妬した。
しかしそんな感情を、表沙汰にはできなかった。
なぜなら冬雅は福山家第三代当主として、誰も並び立つことのできない存在でなければならなかったから。
「あいつさえいなければ」
ふと頭の片隅に浮かんだ本音。
池に落ちた朝露のように、その波紋はたちまち拡大していった。
冬悟さえいなければ。
誰にも言えない劣等感に苛まれることもなくなる。
月光姫を手に入れられる。
……そんな浅ましい欲が、人間として許されない罪に身を染めていった。
その華麗なる容姿で、城の女たちを虜にして。
生まれもった施政者としての才覚も確かなもので、時には冬雅を驚かせるような提案をしたり。
冬悟が次期当主になれば福山家は長らく安泰であろうと、誰もが信じてやまなかった。
誰もが冬悟を愛していた。
蝦夷地のどんな長い冬をも乗り越えていけるような、その優しい笑顔。
……冬悟は冬雅が持っていないものを、数多く持ち合わせていた。
人間的な魅力は、弟のほうが上であることを冬雅は、認めざるを得なかった。
それゆえつらかった。
嫉妬した。
しかしそんな感情を、表沙汰にはできなかった。
なぜなら冬雅は福山家第三代当主として、誰も並び立つことのできない存在でなければならなかったから。
「あいつさえいなければ」
ふと頭の片隅に浮かんだ本音。
池に落ちた朝露のように、その波紋はたちまち拡大していった。
冬悟さえいなければ。
誰にも言えない劣等感に苛まれることもなくなる。
月光姫を手に入れられる。
……そんな浅ましい欲が、人間として許されない罪に身を染めていった。