How much?!


 *****


「お前、マジで面白い奴だな」

「な、何とでも言いなさいよッ!ってか、『お前』じゃなくて『小町』だから!」

「あ?」

「だから、私は早坂小町!!惚れる女の名前くらいしっかりと覚えなさいよッ!!」

「プッ………ヤバッ。久しぶりにマジで笑える」

「はっ?」


嘲笑う彼に睨みを利かせると、


「俺が惚れる訳ねぇだろ。アンタが俺に惚れるんだから」

「…………」



コイツ、相当なナルシストだ。

自分をイイ男だと完全に勘違いしている『痛い男』


容姿が整ってればいいってもんじゃないのよッ!

肝心なのは『心』

ハートよ、ハート!!


こんなサイテー野郎を口説かなきゃならないって、拷問以外の何物でもないじゃない!


呆れ返って溜息を零すと、


「なぁ、小町」

「ッ?!………なっ、何よっ!!」


完全に不意打ちで名前を呼ばれた。

しかも、目の前の男は余裕綽々のしれっとした表情で。

呼ばれた私の方が動揺するって、どういう事?


思わず視線を泳がせると。


「勝負には褒美が付き物だよな」

「え?…………まぁ、確かに」


こんなサイテー男を見返り無しに落とすだなんて、考えただけでも虫唾が走る。

無意識に身体を震わせていると。


「じゃあ、小町は何が欲しいんだ?……言ってみろ」

「ッ?!突然……聞かれても………私は………」


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