How much?!
「そう言えば、先輩!」
「ん?」
「合鍵、まだ持ってるんですよね?」
「………ん、あるよ」
「じゃあ、部屋に行けばいいじゃないですか~」
「…………行く、理由が無い」
「はぁ?理由なんて、適当につけちゃえばいいんですよ~!」
「適当にって?………例えば?」
「ん~、普通にご飯を作りに来たとか、会いたくて来た……とか?」
「ッ?!それって、彼女のする事じゃない?私達、付き合ってないよ?」
「キス、したのに?」
「ッ!!」
志帆ちゃんにはあの日の出来事を話してある。
だって、作戦を立てるなら、鍵を貰った事も……キス、した事も話さないと立てようが無いから。
「キスは、したけど………成り行きというか、自棄になってしたというか……」
「でもどっちにしたって合鍵を渡されたんだから、部屋に行ってもいいって事ですよ?!」
「………そうなのかなぁ?」
「だって麻生さん、言ったんでしょ?いつでも来たい時に来ればいいって」
「…………ん」
「じゃあ、堂々と行けばいいんですよッ!!」
定食屋でひそひそ話をしている私達。
こんな会話、定食屋で話す内容じゃないような……。
でも、周りはサラリーマンだらけだから安心して会話出来る。
それに、志帆ちゃんに言われると、何だか悩んでいた事が馬鹿馬鹿しく思えてくる。
「今日で仕事も終わりだし、彼は明日も仕事だろうけど先輩はゆっくり出来るんだから、夕食を作りに行ったらどうですか~?」
「………夕食ねぇ~」