How much?!


「そう言えば、先輩!」

「ん?」

「合鍵、まだ持ってるんですよね?」

「………ん、あるよ」

「じゃあ、部屋に行けばいいじゃないですか~」

「…………行く、理由が無い」

「はぁ?理由なんて、適当につけちゃえばいいんですよ~!」

「適当にって?………例えば?」

「ん~、普通にご飯を作りに来たとか、会いたくて来た……とか?」

「ッ?!それって、彼女のする事じゃない?私達、付き合ってないよ?」

「キス、したのに?」

「ッ!!」


志帆ちゃんにはあの日の出来事を話してある。

だって、作戦を立てるなら、鍵を貰った事も……キス、した事も話さないと立てようが無いから。


「キスは、したけど………成り行きというか、自棄になってしたというか……」

「でもどっちにしたって合鍵を渡されたんだから、部屋に行ってもいいって事ですよ?!」

「………そうなのかなぁ?」

「だって麻生さん、言ったんでしょ?いつでも来たい時に来ればいいって」

「…………ん」

「じゃあ、堂々と行けばいいんですよッ!!」


定食屋でひそひそ話をしている私達。

こんな会話、定食屋で話す内容じゃないような……。

でも、周りはサラリーマンだらけだから安心して会話出来る。


それに、志帆ちゃんに言われると、何だか悩んでいた事が馬鹿馬鹿しく思えてくる。


「今日で仕事も終わりだし、彼は明日も仕事だろうけど先輩はゆっくり出来るんだから、夕食を作りに行ったらどうですか~?」

「………夕食ねぇ~」


< 55 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop