How much?!
ミーティングルームには、俺と彼女の2人きり。
施錠までしてしまったからには、完全な密室状態となってしまった。
変な緊張感に襲われていると、カラカラとキャスター付の椅子を引く音がした。
恐らく、彼女が椅子に腰掛けたのだろう。
今更だが、俺はこのまま気配を殺して、あと15分もの間、じっとしていなければならないのか?
はぁ……。
後悔に似た溜息が漏れ出した。
俺は仕方なく目を瞑って、時間が経つのをじっと我慢する事にした。
サッと姿を現し、何事も無かったように部屋を出て行くべきかとも考えたが、彼女の今の状況からして、それは控えた方が良さそうだと判断したからだ。
きっと、彼女は今、下半身は下着のみだろうから。
後輩を思い遣れる先輩というだけでもカッコいいのに、自分はトイレに籠ってるという嘘まで吐いて、後輩のスカートを直そうとするなんて。
普通、遣ろうとして出来るものじゃない。
しかも、今時の女の子が、職場にソーイングセットを常備しているだろうか?
そんな些細な事にも感動してしまい、無性にその人物の顔が見たくなってしまった。
けれど、完全に空気に徹している状態の俺が、スタスタと歩いて行けるとも思えない。
俺は何とも言えぬ複雑な心境でじっとしていた。
5分位が経過した頃、神様は俺にご褒美を与えて下さった。