How much?!
彼女を送り届けて、自宅アパートの駐車場でへたり込む。
マジで自分自身に叱責したい。
出会いが何だ!
きっかけが何だ!
初めて彼女の素の部分に触れられた気がしたのに……。
どうして、あんな事をしてしまったんだ。
今更後悔しても遅いのに、溜息ばかりが出てしまう。
叔母の家で彼女と一緒に新年を迎えられた。
あの場所から眺める景色が、俺の一番好きな夜景で。
とっておきの景色を彼女に見せてあげたかったし、共に過ごしたかった。
だから、念願のひとときが過ごせて、有頂天だったのだと思う。
軽いノリで自宅へと誘い、断られる事を覚悟していた俺。
けれど、彼女は再び俺のアパートへと来てくれた。
前回の暴走キスも覚めやらぬうちに来てくれた事に心から安堵していた。
完全に嫌われたと思っていたから、逢えるだけでも嬉しかったのに。
それなのに―――――。
俺は再び暴走してしまった。
男は本能のままに行動してはいけないらしい。
『理性』という感情を上手くキープしながら、相手の気持ちを酌まなければならない。
分かってはいても、長年の想いが溢れ出して………。
はあぁぁぁ………。
何やってんだか、俺。
自宅へと戻った俺は、テーブルの上に置かれているカップを見つめた。
あんなにも楽しそうな表情を見る事が出来たのに………な。