あなたの優しさが…

私が意識を無くした後…


ゆかりさんはお父さんだけ呼び止めた。


『お初にお目にかかります
桐生ゆかりと、もうします』

「あ…どうも」

『失礼ですが…あの子が今まで
どのように生きていたかご存知ですか?』


「…いいえ…」


『あの子は二度も母親に捨てられたんです』


「え…いや。おばあさんと暮らしてたんじゃ…」

『えぇ。中学卒業までです』


「まさか…あいつ…み、美咲を…」

『そうです』


「な…なんて…こと…を…」


『今後、あの子は私どもで守ります』
『何があっても、二度とあの子の前に現れないでください』


『失礼致します』


父はその場から動けなかった。



ゆかりさんは意識を失っている私と
私を運ぶ大東さんと、その場を後にした


< 104 / 130 >

この作品をシェア

pagetop