華麗なる安部里奈
「よし、それじゃあ、私の話は終わりだ。テッちゃん、これからは危ない事をしたらいけないよ。アッちゃんもね」

父に言われた２人は黙ったまま頷く。アッちゃんは、テッちゃんが言った嘘で混乱した様子で、ずっとテッちゃんのほうを見ていた。たぶん、テッちゃんがなんでそんな話をしていたのか、理解できなかったのだろう。



私はその頃、"テッちゃんは私を庇ってくれている"というのが少しずつ理解できていた。それに、そんな風にテッちゃんが言ってるのに、ここで「自分のせいです」と話したら、今度はテッちゃんに怒られるような気がして、自分のイタズラを正直に話す事はできなかった。



「里奈も、これからは気をつけるんだよ。噴水に落ちたのは自分のせいではないかもしれないけど、噴水に近づいたらダメだという約束を３人とも破っているんだからね。これからは、そういう事をしないようにする事。分かったかい？」

「はい……」

私はまた俯いたまま、静かに答えた。



「よし、それじゃあ解散だ。みんな、夜ご飯をちゃんと食べるんだよ」

父がそういうと、テッちゃんとアッちゃんは正十郎に連れられて部屋を出る。私はマリちゃんに手を繋いでもらい、自分の部屋へと戻った。


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