華麗なる安部里奈
これは私が小学校3年生の事だった。

その日も私は小学校から帰ると、すぐに手を洗い、うがいを済ませてテッちゃんの姿を探していた。

テッちゃんが通う公立の学校は屋敷の近くにあったので、いつも学校から帰ってくるのはテッちゃんのほうが早い。だから、私はいつも学校から帰るとすぐに「テッちゃんは?」と使用人達に尋ねていたのだった。



うちで働く使用人達のほとんどは住み込みで働いている。そめため、執事の正十郎もその息子であるテッちゃんも、屋敷内の一室に住んでいる。屋敷の1階の一部分は使用人達の住んでいる部屋がまとめられており、彼らはそこで生活をしているのだ。

同じ屋敷内とはいえ、使用人達それぞれのプライバシーを守る配慮はしっかりされており、各部屋には鍵が付けられていて、さすがの私もそれぞれの部屋には勝手に上がりこむ事はできない。



私が学校に行っている間に、テッちゃんとアッちゃんが何か楽しい事をしているのではないか、私を仲間外れにしているのではないか。

そんな風に思う私は、とにかくいち早くテッちゃんの姿を見つけようと、テッちゃんの住んでいる部屋の前に立った。

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