初めてを君と。
園長先生の言葉に香織先生と友美先生は笑顔で「はい!」と頷いていて、
私は何だか騙しているような気がして、心が痛かった。


そうだよね…
園長先生や先生たちは私が将来保育士になると思って指導をしてくれているのに、、、

私は卒業したら東京へ行く。
保育士にはならずに、歌手になる。。。

こんなに良くしてもらっているのに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


私が俯いていると、友美先生が心配したのか、顔を覗きこんできた。
「クレア先生?どないしたん?」

「えっ?あ、すみません。大丈夫です。」

「疲れたかな?今日も、暑かったし。はよ帰ろかー」

香織先生の言葉に頷いて、園長先生に挨拶をしてから更衣室に向かった。

私はジャージで来たからエプロンを取ると、
まだ着替えていた二人に、声をかけた。

「香織先生、友美先生、お先に失礼します」

「はーい!お疲れ様!また明日ね。」

二人は着替えながら手を振ってくれていたので、小さく頭をさげてから更衣室を後にした。


私は帰りながら、さっきのことを考えていた。
このままでいいのかな…
でも、途中で実習を辞めるわけにもいかないし、実習をしないと単位が取れない。
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