年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

「……誕生日、一昨日だけど?」

『あら、そうだったかしら? まあどっちでもいいじゃない、誕生日おめでとう。あんたもとうとう大台に乗ったわね』

母親とは思えない暴言をさらっと吐いて、マイペースに話し続ける。

『あんたにプレゼントがあるんだけど、今度いつ帰って来れる? 次の休みにでも帰っていらっしゃいよ』

実家までは車で二時間ほどの距離、帰ろうと思えばいつでも帰れるけど、その近さがアダになってよっぽどのことがない限り帰らない。最近ではお正月とお盆くらいだ。


「プレゼントって何よ?」

『イケメンの写真よ。あんた、お見合いしてみない?』


またさらっと聞き捨てならないセリフを吐いた。

「はあっ? お見合い?」

『そう。前から言われてたのよ、多鶴子(たづこ)おばちゃんに。あんたには祥裄くんがいたから断ってたけど、別れた今、お断りする理由もないし、逆に有難いくらいじゃない。とりあえず一人、イチオシの方の写真が手元にあるからって持ってきてくれて……』

「ちょっと待った。私しないよ、お見合いなんて」

お節介で典型的な世話焼きおばさんの多鶴子おばちゃんの顔を思い浮かべる。あの人に目をつけられたら最後、あれやこれやと口を出されるに違いない。
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