年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
瑞香は私の腕を引っ張って、大通りを抜けると、その辺にあったベンチに座らせた。

それから私を置いてどこかへ立ち去ってしまい、一人ぼんやりと人の流れを見ていると、ほれ、とどこからか買ってきた缶コーヒーを差し出してきた。

サンキュ、と礼を言って受け取って、プルタブを開ける。
瑞香も私の隣に座って、二人でしばらく無言のままコーヒーを飲んだ。


「……そんなにショックだったわけ? あの子が他の子と一緒にいるのが」


先に口を開いた瑞香が静かに言った。


「だから言ったでしょ、あの年代の子はすぐに気が変わるって。一回一回の恋愛の比重が軽いのよ。あんたのことだって、きっとその時は真剣だったの」

「わかってる」

「そもそもね、あの子が誰かと付き合ってたとしても、今のあんたが気にすることじゃないでしょ。あんた別の男と結婚するんでしょうが」

「わかってるってば」


不機嫌に言い返してまた黙り込む私を、瑞香が呆れたようにじっと見る。


「あのね。はっきり言ってあんたよりもよほど大輔くんに似合ってたわよ、あの女の子。
まさか、自分のことをずっと引きずって、想い続けて欲しいなあ、なんて都合のいいこと考えてたわけじゃないんでしょ? きちんとあの子の幸せも願ってあげなさいよ」

「……」

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