年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「奥さん以外に大事な人がいるんです」
「……不倫?」
「世間ではそう言うんでしょうね」
自嘲するように笑ってまたジッポーを触り始める。手の中で回したり、意味もなくカチカチと蓋を開けてみたり。
衝撃的な告白のはずだけど、私はあまり驚かなかった。今日の辻井さんの雰囲気は、何を言い出してもおかしくない感じがする。
「初めはすぐに離れるつもりだったんですけどね。気がついたら手放せなくなってた。それどころか、全部俺のものにしたくなって」
カチン、と辻井さんの大きな手の中でジッポーが火を噴いた。ゆらゆらと炎が揺れる様に、目が惹きつけられる。
「長いんですか、その関係?」
「丸三年経ちます。離婚するつもりはない、ってずっと言い続けてきたんですけど、最近になって迷い始めてしまって」
「相手の子は? 離婚して欲しいって?」
「彼女は何も求めて来ません。三年間ずっとそうだった。俺に与えようとするばかりで、何一つ要求しない。それを不満に思わない」