年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「ちょっとだけだよ。恥ずかしい方が何倍も強かったけど」

俯いて、でも幸せそうに微笑んで。

「なんか、理屈抜きで求められてる気がするなあ、なんて……」

そう言ってから、恥ずかしそうに顔の前で手をぶんぶんさせる。

「ごめん、何言ってんだろうね、今のナシ……」
「沙羽さん」

俺が呼びかけると、暴れていた手がおとなしくなる。


「今、周り誰もいないです」


さっとまた首が赤く染まった。
手を伸ばして顔を上げさせると、おずおずと俺を見上げて、また目を伏せる。

沙羽さんがこれだけ照れているのは珍しい。また愛おしさが込み上げてきて、暴走しそうになるのを押しとどめる。


「やり直し、していいですか?」


頬を撫でると、沙羽さんはぴくっと身じろぎしてから、目を閉じてこくんと小さく頷いた。


……沙羽さんの言う通り。
俺はいつだって理屈抜きで、沙羽さんを求めてる。


重ねた唇は、さっきの飴の味よりももっともっと、甘かった。
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