年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「そんな足元に座ってられると落ち着かないよ。隣座って?」

バッグを自分の膝の上に移動させてとんとん、と隣を叩く。
のろのろそこに腰を降ろす俺を、くすくす笑って見ている。

「大輔くんて、意外と肉食だよね」

「すみません、体が勝手に動いてました」

「そんな感じだったね。すごいびっくりしたし、恥ずかしかった」

「……ですよね」

もうただすみませんとしか言えない。

あの時はなんにも考えてなかった。

見上げてくる目が可愛くて、なのに口元が妙に色っぽくて、ただキスしたいとしか思い浮かばなかった。しかもそんな欲求に、体が正直に従ってしまった。

公衆の面前だということが、頭の中から吹っ飛んで、気付いたらもう遅かった。
あの強面の店員が冷やかしてくれなかったら、もしかしたらもっと変なことしてたかも。

ひたすらうなだれて反省する俺の顔を、沙羽さんがひょい、と覗き込む。

「でも、ちょっと嬉しかった」

驚いて顔をあげると、沙羽さんが少し照れながら、へへ、と笑った。
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