年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

「お疲れ様でした。特に不満な点はありませんか?」

「全っ然ないです。むしろタダでやってもらえるなんて申し訳ない感じ。本当に代金、いらないんですか?」

「まだまだ練習段階ですから。貴重な時間をいただいてるのに、さらにお代なんていただけません」

綺麗な顔でにこりと微笑んで、辻井さんが丁寧な言葉遣いで私に言った。ああやっぱりこの人危険だ、ホストになったらどんだけでも貢がされそう。


「沙羽さん、ありがとうございました! 助かりました!」


クロスを外しながら、大輔くんが全力の笑顔で言った。

「こっちこそありがとね。すっごい軽くなった。髪と一緒に憑き物が落ちたみたい」

「気に入ってもらえたなら良かったです」

見ているほうが嬉しくなるような笑顔だった。
大輔くんのうしろに千切れんばかりにふられているしっぽの幻が見える。
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