恋する白虎
杏樹は頷いた。

やっとの思いで窮奇は泉に入ると、眼を閉じた。

「ここの生き物は、怪我するとこの泉に入って傷を治すんだ」

「治る?」

「ああ」

杏樹はフーッと息を吐き出した。

「よかった」

窮奇は、杏樹を見た。

よかったって……俺を、心配してくれるのか。

遠くを見つめていた杏樹が、ふいに窮奇を見つめた。

「どうしたの?」

その時である。

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