恋する白虎
一人の背の高い男が、エコバックを二つとも杏樹の手から取ると軽々と持ち、歩き出した。

白銀の髪が印象的で、美雨は思わず杏樹に向かって自転車をこいだ。

見たい。あの男の顔が。

「杏樹ーっ」

美雨は明るい声をあげ、にっこりと笑って手を振ると二人に近づいた。

杏樹はギクッとして、声の方を向いた。

うわっ、同じクラスの山田美雨だ。

ギクッとしたものの…そーだ永舜は普通の人間には見えないんだ。

「美雨」

美雨は、自転車を降りて二人を交互に見つめた。
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