恋する白虎
「ばかっ!自己紹介なんかしないのっ!!
…ごめんね、美雨。今凄く急いでるの!また学校でねっ。ごめんね」

「あ、うん、またね!」

男の腕をグイグイと引っ張り、杏樹は足早に去って行った。

見えるの?って、なんなのよ。

それにしても…凄くイイ男だった…。

男らしい、涼やかな顔立ち。

スラリとしている割には、逞しい体つき。

『俺は白虎だ』

白虎?

見える?

どういう事なの?

もしかしたら人間じゃないのかも。

美雨は昔から不思議なものが見えた。

それはどれも霊の類いだった。

あの男、幽霊なの?

そんな感じでは、なかったけど。
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