あなたの一番大切な人(1)
 彼女ははっと息を飲んで、それを否定しようと強い眼で訴えたが、次の瞬間彼の唇は静かに彼女の首筋をとらえていた。

 彼の舌が自分の肌を這うのに耐えられず、相手の顔を勢いよく平手打ちした。

 たたかれた彼は、反射的に身体を起こし、目を大きく見開いた。

 自分の下で蹂躙されるはずの女性が、強い抗議の眼差しを向けている。

 彼女は口を開いて勢いよく告げた。

 「どうしてあなた達は、そんな恥ずかしい真似ができるの。こういう被害を受けている女性に対して、そんな侮辱が許されるの。ねえ、この国の頂点に君臨する人間として、いや男として恥ずかしさは微塵もないの。」

 一気につげた彼女は肩で息をしていた。そして次第に両目に涙を蓄えだした。

 「そうよ。私は麻薬がほしいから、この身体をあの男に売ったわ。そうでもしないと、そうすることでしか、生きていくことができないのよ。」

 最後の一言は強い叫びとなっていた。

 叱責された二人はバツの悪そうな顔をした。

 特に国王は、自分の行動によって女性を泣かせてしまったことにかなり動揺していた。

 そんな彼の心境の変化などまったく気づかず、彼女はとぎれとぎれにつづけた。

 「さっきから、適当なことばっかりいって。私が好奇心から麻薬に手を出したですって。バカじゃないの、いやバカなのね。教えてあげるわ。4、5人の男に囲まれて何をされたのか。彼らが快楽のために私に何をしたのか。」
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