イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~

ドアノブにかかっているネクタイを疑問に思った母が部屋の中を覗き込んだ瞬間、あたしと目が合った。


「あ、明日香……?い、いやあああああ!!!どうして……――どうしてなの!?」


口元を抑えた母がワナワナと全身を震わせている。


そんな母の姿にあたしは心の中でクスっと笑った。


今更後悔したって遅いんだから……――。


兄の部屋で首をつって妹が死んだって、ご近所さんたちが大喜びする大スキャンダルでしょ?


もう、この家にも住めないね。


あたしが新村をいじめている動画もネットにアップされたし、この家が悪意のある誰かに特定されて嫌がらせを受けるのも時間の問題だよ。


あと何年ローンが残っているかしらないけど、これから先、お金に困るのは間違いないね。


だってうちって毎月家計は火の車だったじゃない?


お母さんはあたしがなにも知らないと思っていたみたいだけど、全部知ってるんだから。


兄の大学受験なんてしている場合じゃなくなったね。


でも、それも自業自得。あたしを愛さなかった罰。
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