続・元殺し屋と、殺し屋
☆紅羽side☆
澪鵺が保健室へ向かったのを見届けた私は、教室へ戻り、体育着に着替え、外に出た。
花菜と知紗と話しながら出ると、ふと目につく人がいる。
…やっぱり、気にしてしまうな。
月宮くんのことは。
花菜と知紗には言わない方が良いかもしれない。
「言うな」と口止めされているけど。
2人は元ヤンであり、元殺し屋ではないから。
言ってバルシーが何かしたら…それこそ危険。
黙って、平然を装わないと。
澪鵺が戻ってこないまま体育は始まる。
その間にも私は色々考えていた。
バルシーのことは今はまだ考えないでおく。
澪鵺にも今は気にするなと言われているから。
今私が気にするべきことは、文化祭の激だ。
【元令嬢と、御曹司】…私は主人公ユメナの役。
振りとかどうしようかな…。
その前に、台詞も完全に覚えきれていないし。
…本番心配しないか、今から心配。
多分大丈夫って、心のどこかで安心しよう。
冷静に物事を判断する。
殺し屋の基本だもんね!
て、殺し屋って言っているし。
入学したての頃、私はある決意を固めた。
“殺し屋と言う単語を使わないこと”だ。
それなのに今ベラベラ言っている。
あんなに固くコンクリート並に固めた決意が、水と化してしまう。
…よし、これからは殺し屋という単語は言わないぞ!!