続・元殺し屋と、殺し屋
「総司のこと、これからもよろしくお願いします。
人間関係とか苦手だと思うんですけど、素は優しいんで!」
笑顔で言う総太さんを見て、思った。
総太さんは間違いなく、弟を大事に思っている。
感動して独り言を言ってしまうほど。
「あ、そうだ!」
「何ですか?」
「俺が来ていたこと、総司には内緒にしておいてください。
来るなって言われていましたから!」
「え?そうなんですか?」
「主役級を演じたんですよ。
きっと本人、凄く恥ずかしかったと思うので。
内緒にしておいてください、よろしくお願いします」
ペコンッとご丁寧に頭を下げた総太さんは、そのまま校門に続く道を歩いて行ってしまった。
「氷くん!」
「あ、陽詩」
「あ、じゃないよ!
あたしを置いてどこ行っていたの?」
「総司くんのお兄さんに会ったんだ」
「ソウくんの?
ソウくんに似ていた?」
「……うーん………」
「あたしも見たかったなぁ」
「そうだ。
総司くんのお兄さんから、忠告を受けていたんだ。
お兄さんが来ていたこと、総司くんには内緒にしてほしいって」
「そうなんだ。わかったわ!」
…陽詩忘れっぽいからなぁ。
少し不安は残るけど、大丈夫だろう。