続・元殺し屋と、殺し屋








「「………」」




残された僕らは、まだ残っている焼きそばを食べ始めた。




「…あれで良いの?氷くん」

「…まぁ、外には出ていないと思うから。
いずれ見つかるだろうし、大丈夫だよ」

「ハッキング、しないの?」




ハッキングは法律違反だから。

陽詩は声を小さくして聞いてくる。




「この学校、セキュリティが厳しいからね。
下手にハッキングしたら、バレるかもしれない」

「氷くんでも、ハッキング出来ないの?」

「出来ないわけじゃないと思うけど。
やるのは厳しいと思うよ?」

「そうなんだ―…。
じゃあ、犯罪者が入ってこなくて安心だね!」

「そうだね」




僕が返事したところで、僕のスマホが鳴った。

そういえば、マナーモードにするのを忘れていたな。

劇の最中鳴らなくて良かった。

陽詩に「ちょっとごめん」と謝り、通話を始める。

相手は、死体屋の1人だった。




「どうしたの?」

『実はホワイトキャットから妙なファックスが届きまして』



ホワイトキャットは自称ブラックキャットのライバル。

名前だけは知っているけど、名は高くない。



『ぼっちゃまの通う高校に、殺し屋をよこすと書いてあります。
殺し屋のコードネームはバルシーです』



ぼっちゃま…恭真くんのことだ。

恭真くんの通う高校ってことは、この高校だよね?

しかも殺し屋バルシーをよこすのか?

快楽殺人者に近い殺し方をする殺し屋で、ブラックキャットでもマークしている殺し屋だ。






犯罪者は入らないと言えるほど安全なセキュリティだと思うけど。

…破れないわけではない。

ホワイトキャットにもハッカーの1人や2人はいるだろうから。

もしかしたら、破れるハッカーがいるかもしれない。





「陽詩!
明日、必ずスマホを持ってきて?」

「良いけど…何で?」

「明日の文化祭が…危険だから。
何かあったら、スマホで連絡を取り合えるだろ?」

「わかったわ。
…でも、危険ってどういう意味?」

「もしかしたら明日、この高校に殺し屋が来るかもしれない。
正確にはわからないけど、一応念のために」






< 287 / 308 >

この作品をシェア

pagetop