シオンズアイズ
シオンの眼から涙がこぼれた。

頬を伝ったそれが、シオンの首を掴んでいたカイルの手首にポトリと落ちた。

「……!!」

カイルは驚いてシオンの首から手を離した。

……ランプの灯りが小さく弱いせいで、瞳の色が変化しているかは分からない。

けれど、涙に触れた途端に、妙な感覚が体を駆け抜けた。

カイルはシオンを見つめた。

泣いたせいで瑞々しく光る大きな瞳。

通った鼻筋に、花びらのような唇。

綺麗な輪郭にまとわりつく艶のある長い髪。

それらを備えた美しい女が、敵意に満ちた眼差しで自分を睨んでいる。

カイルは再びシオンの首に手を伸ばした。
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