シオンズアイズ
やだ、胸がギューッと鳴る。

涙が、止まらない。

「シオン、お前は俺とは身分が違い、釣り合わないと言ったが、それは関係ない。俺の亡き母は下町の生まれだった。愛に身分など関係ないんだ」

ファルは切々と胸の内を語り、やがて片膝を地につけてシオンを見上げた。

「俺はお前を妻にしたい。
だが、右も左も分からない世界へやって来て、突然結婚してくれと言われても困る気持ちも分かる。
だからまずは」

ファルは、息を整えてシオンを見つめた。

民衆は静まり返り、バルコニーの中央の二人を見守り続けた。

「シオン、俺の恋人になってくれないか」

童話の中の王子様のように、膝をついて自分を見上げるファルを見て、シオンはポロポロと泣いた。
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