M&H
「三波くん、一貴にも教えてやってよ」
そう、俺は名字に『くん』付け
一貴は下の名前で呼び捨て
結局ハルくんと呼ばれたのは
教科書を貸したあの一回きりだった。
「俺は美波で精一杯だから」
別に気にしてる訳じゃ無いけど
もう一回呼んでほしいと思ってる自分がいるのも
否定はできない
「はぁ。もうあんたわかんないとこ多すぎるのよ。5問だけ教えてあげるから。」
「ちぇー。5問だけとかハルちゃんケチー」
「別に私は1問も教えてあげなくてもいいのよ?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!
5問ね!5問!」
何だろう。このチクチク、モヤモヤする気持ちは。
「三波くん?」
「ああ、ごめんね、どこまで説明したっけ?」
そんな気持ちを誤魔化すように
美波に一生懸命勉強を教える。
「えっとねー、ここまで!」
今、俺の彼女は美波だ。