短編集『秋が降る』
拓斗はアパートで一人暮らしをしている。

といっても、実家は目と鼻の先らしい。
なんで一人暮らしをしているのか聞いたら、「親が子離れの練習をするため」とかわけのわかんないこと言ってた。

たまにこの部屋にも来るけど、たいがい入れてくれない。
入れてくれても、お茶を飲む間もなくどこかへ行くことばかり。

「ほら、一応大学生だしさ。あんまチャラいことしたくないんだ」
なんて、言って。

アパートにつくとすぐに駐輪場を見る。

愛車である原付は・・・ない。

「いないのか・・・」

部屋の前までくると、ノックしてみるが返事はない。
まだ帰ってないみたい。
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