短編集『秋が降る』
朝の食卓。

食器の音だけが、むなしく響いている。

誰もが無言で、出された朝食に手をつけている。

会話がないと、食事のおいしさも半減する。
もう、最近はこんなかんじばっかり。

お父さんと新しいお母さんは、トーストとコーヒーといった洋食。
私は白米に卵焼き。つまり、和食だ。

「ねえ、あなた」
新しいお母さんがお父さんに小さな声で言う。

「ああ・・・」
気乗りしなさそうな返事のお父さん。

見なくてもわかる。
その視線が私に向いているってことも。
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