嘘つきなあなたからの恋文。
「莉里、当番終わった?」
「うん、さっきね。
今から花梨と回ろうと思ってたとこ」
「ふーん……」
曖昧な返事をしながら湊先輩は私を横目で見てくる。
この目は……。
湊先輩が何を考えているのか予想できた私は小さなため息を吐いて湊先輩の為に動くことにした。
「莉里ちゃん、せっかくだし湊先輩と回って来なよ。
わざわざ湊先輩も【1人】で母校に来たんだし、回る相手いないと思うし」
二言目は湊先輩への遠回しの嫌味だけど、一言目はちゃんと先輩を想っての言葉だし睨まないでよ。
ちゃんと思惑通りにしてあげたのに。
「でも、花梨1人になっちゃうし、それなら3人で回ろうよ」
「花梨は大丈夫だろ、莉里以外にも友達いるだろ?
莉里、俺と回ろう」
「そうだよ、私のことなら大丈夫。
莉里ちゃん、行ってきな」
「分かった…ありがとう、花梨」
「いいよ」
どうせ、お礼は先輩からたっぷり貰うから。
申し訳なさそうにする莉里ちゃんと自分の思惑通りに進んで満足している湊先輩に笑みを向けて見送ると、
私は直様教室に戻った。