嘘つきなあなたからの恋文。


私の質問にコタくんは、


「また?何回目?」


5度目の同じ回答が返ってきた。


「6回目…」


「小池さんも粘るね」


「そりゃ粘るよ、知りたいもん」


コタくんは知らないだろう。


私の2年生の成績は今より少し悪かったことを。

コタくんより成績が上になれるよう猛勉強したことを。


コタくんがどの高校へ希望しても一緒の高校へ行けるようにしていたことを。


志望校を決めないといけない未だになっても私は志望校を決めてないことも。



全部、全部、コタくんは知らないだろう。



「コタくん、そろそろ教えてよ」


6度目の質問は、


「んー……まだ嫌かな」


6度目の拒否。


「…どうして?そんなに私に知られたくない?」


「…そういう訳じゃないよ。

春になったら知ることでしょ?
だからそれまでお楽しみだよ」


「なんでそんなにはぐらかすの?」



彼は否定した。

私に知られたくない?

この問いを否定した。


けれど、私はその答えは違うんじゃないかと思った。


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