私の師匠は沖田総司です【下】

しばらく無言でいると、龍馬さんは私の上から降りてしまった。

「ごめん……。怖がらせたな」

怖がらせた?

起き上がり、首を傾げていると、龍馬さんは私の手を指差した。

「震えてる」

「あ……」

気付かなかったけど、私の手は小刻みに震えていた。

手だけじゃない、全身が微かに震えている。

「ほんと、ごめん。酔ってたから自分を抑えられなかった」

「いや、その……」

「早く部屋に戻った方がいい。じゃねえと、本当にまずい」

「……はい、わかりました」

龍馬さんは私に背を向けて座り込んでしまう。

自分の部屋に戻ろうと立ち上がる。でも、戸に手をかけるとピタッとその動作をとめた。
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