私の師匠は沖田総司です【下】
今までの仕返しとばかりに、ニヤニヤと笑う組長に言い返すこともできません。

まぁ、口煩く体調管理をしろと言っていた本人が風邪を引きましたからね。

冷やかしたくなる気持ちも分かります。

あ~あ、自分なりに体調管理はしていたんですけどね。

やっぱり冬の寒さには敵いませんでしたか。貧弱な身体が恨めしい。

「お疲れ様。解散していいよ」

巡察を終え、組長の号令で隊士たちはそれぞれの場所へと散っていく。

私も自室に戻ろうとしたら

「天宮さん、ちゃんと手洗いうがいして、あったかくして寝るんだよ」

「はい、了解しました」

いつも私が言うセリフを組長に言われてしまいました。

むむむ、悔しい。

でも、組長の言う通りにした方がいいですね。

冷えた身体をあたためる為に白湯でも飲んでから寝よう。

小さな咳をしながら勝手場へと向かう。

すると途中、どこからか話し声がしました。

「裏庭から?」

複数の話し声は裏庭から聞こえてきました。

この時間帯、夜の巡察当番以外の人は寝ている筈。

でも一番気がかりなのは複数の話し声の中から、聞き覚えのある女性の声がすることです。
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