ポーカーフェイス
民家が寝静まった深夜の街路樹を、真離は真っ黒な服装で身を潜めながらスモークのかかった車に乗り込む。

女の自宅周辺には他に何台かの不審車両を蔓延らせた。
それは、周囲のカメラに写り込む姿から気をそらせ、後々に行われるであろう捜査の目をくぐり抜けるためだ。

あたかも真離は一般の通行人のように人気のない民家の裏へと降りる。真離は周囲の監視カメラに映らないように、細心の注意を張り巡らして女の住む住居の庭へと侵入する。



真離は住居の裏口横の隅にある路地から軽く部屋の構造を見渡した。
右奥の隙間から大きな窓が二つある。
表、裏には玄関ともう１つ入り口がある。
左の隙間には玄関の窓口と風呂場の窓がある。

真離は始めに右奥の大きな窓の鍵をガラスを割って開ける。
空き巣が行う手口で鍵はいとも簡単に空いた。
真離は玄関の鍵も一応あけておいた。

そして表から出入りする隣の大きな窓を銃で音を鳴らして割った。

ガシャン！物凄い音と共に寝静まった同居人が起きて窓の方へ移動するのを確認してから、右脇の大きな窓から中へ侵入する。同居人の二人は何事かと思い、窓の方を向かって必死に割れた場所を確認している。

真離はその二人へ向けて一発ずつ、麻酔銃を使って眠らせた。
念のため、真離は侵入口付近のカーテンの隙間に身をくるんで隠れた。
問題の女はきっとこの音につられてやってくるに違いない。
真離の予測通り、二階の窓からは狙う女が降りてきてパニックの状態で窓へと走る。

その時、真離は女の背後へと立つ。
人気を感じた女はぞくっとした面持ちで恐る恐る後ろを振り返る。
声をあげようとした女の額に真離は銃をつきつける。

真離は一言

ごめんね。

その言葉と同時に女の頭部に向けて発砲した。
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