スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
3日後、会議室には朝から荒木さんがいて、田所副編集長と2人で3枚一組の紙の資料のホチキス留めを作っており、何に使うんだろうと思いながら、私は中畑さんと一緒に読者アンケートの葉書に目を通し、読者の声を共有フォルダのデータに入力していく。

4月号の読者アンケートは今回もシンプルな言葉や長く感想を述べてくれるのも様々で、私が荒木さんに提出する宿題に参考になる言葉もあるので、それはデータの入力の他に自分のノートにもメモをした。

「レイアウトのコメントもあるから、次の6月号に早速反映しよう」
「私も宿題に参考になるのもあって、やっぱり読者の声って良いですね」
「うん。読んでるのが凄く伝わるし、力になるよね」
「はい、そう思います」

2人で読者アンケートの葉書をじっくり読んで見せ合っていると会議室のドアがノックされ、ドアが開いて水瀬編集長が中に入ってきた。

「仁、会議の時間になるから行こうよ」
「分かった。佐藤と中畑、戻るまではここにいて。田所、行くよ」
「はい」
「いってらっしゃい」

田所副編集長と荒木さんはホチキス留めの資料を手に持って水瀬編集長と一緒に会議室を出て行き、皆で荒木さん達を見送り、どうか“部数会議”が上手くいきますようにと願った。

それから1時間、2時間と会議室の時計の針が進み、荒木さん達はまだ私達がいる会議室に戻ってこない。

「会議、長いですね」
「あの経理の部長が相手だと、すんなりいかないか」
「きっとネチネチ言ってるのか」

私と中畑さんや先輩達も悶々としていたら会議室のドアが開いて、田所副編集長は物凄く機嫌の良い表情で入ってきて、続々と人が歩いているのが3日前の景色とダブるけど、年配の男性だけは物凄く不機嫌で歩いてその後を若い社員が笑いを堪えながら歩いていた。

「最後のあの経理のおっさんの顔、最高だな」
「俺も笑い堪えるのが大変だった。仁、【もりや】でね」
「ああ、昼の時間に行く」

3人の編集長達は前とは全然違う雰囲気で、あの姫川編集長が凄く笑っているのを私を含め皆でぽかんと見る。

「久しぶりに笑ったな。仁、お前は最高だよ」
「痛いし、叩かないで」

すると高坂専務が爆笑しながら右手で荒木さんの肩をバンバン叩き、一緒に会議室に入ってきてドアを閉め、2人は上座の席に座った。

「いや〜、くそつまらない会議の時間が帳消しされて最高だったね」
「俺もまた延期かと思って、覚悟をしてました」

高坂専務と田所副編集長はずっとにこにこしていて、結局“部数会議”は良い結果で終えたのかな?

「6月号の部数だけど、こっちの言い分で数字を取れた」

荒木さんが簡潔に結果を言うと、皆はぱぁっと表情が明るくなる。

「凄いですね!どうやって取れたんですか?」
「実はー…ていうことでさ、そりゃもう最高の結末だった!!」
「私、早退をしたいです……」

佐藤さんが嬉しそうに高坂専務に聞くと、高坂専務はそれはもうひまわりの様な笑顔で話を始め、それを聞いて私はルーズリーフで顔を隠し、荒木さんを除いた皆からの笑った視線を防いだ。
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