スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
最寄り駅に着くまで歩きながら今日のことを考えているけど、同期が多いといいし、そして入社のきっかけになった仁さんに会えたら真っ先に雑誌のことを話したいし、一体どんな人なんだろう?

四つ葉出版社の最終面接で高坂専務や水瀬編集長は仁さんのことを慕っていたし、編集長代理で同席していた田所副編集長も同じように嬉しそうにしていたから、人望がとてもあるのかな?

あ、そういえば荒木不動産の荒木一美さんが不思議な事を言ってたよね?私が荒木不動産に訪れて部屋探しをする時、四つ葉出版社の名前をだしたら荒木さんが住むシェアハウスが真っ先に思い出したから紹介したと言うけど、うーん、荒木さんとは1週間くらいしか出会ってないし、しかも引っ越し当日の翌日からは全然見かけていないし、一体四つ葉出版社とどんなことが関係あるのかな?

頭にはてなマークを浮かべながら最寄り駅が見えてきたけど、なんだか人だかりが多いし、改札前にはスマホを苛つきながら操作する人たちがいる。

『この路線は事故の影響で大幅な遅延が発生し、電車の到着まで1時間ほどー…』

嘘でしょ?!余裕を持って出てきたはずなのに、入社当日で遅刻なんて流石にまずいから、早く四つ葉出版社に電話をしなくちゃ!

右手でバックからスマホを取り出して、指でアドレス帳の画面を表示させようとしたら、急に右手首を掴まれたのでバッと顔を上げると、私の手首を掴んだのは荒木さんだった。

「電話よりこっちだ」
「え?!ちょっ…」

私の手首を掴んだと思ったら大きな左手が私の右手を包み、そして荒木さんが歩き始めた。

私たちは最寄り駅そばの地下に通じるエスカレーターに乗り、どんどん地下へと進み、そしてエスカレーターを降りたら荒木さんは掴む手を離すことなく地下歩道を歩くけど、私は掴まれた荒木さんの手をじっと見ながら歩く。

凄く大きな手…、急に掴まれた時は何事だと思ったけど、掴んだ手の力は痛くなく、むしろ電車の遅延で焦る気持ちが和らいできた。

地下歩道を歩き続けたら改札口のようなものが見えてきて、ここってもしかして地下鉄?と思っていたら、荒木さんの左手の力が抜け、そっと離れ、私の方を振り返った。

「地下鉄なら間に合う」
「あ、ありがとうございます!助かりました!」

荒木さんに一礼して、券売機で交通系カードに現金を入金し、急いで改札機にカードをタッチしてホームに向かった。
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