スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
会議室から出て荒木さんと一緒に階段で1階に降り、総務課の中に入ると、その中にいる女性社員達が荒木さんの方へ顔を向け、目を見開いていて、1人の女性が私たちに気付いて立ち上がる。

その人の首にかけられている名札には“星野”とあり、そうだ、四つ葉出版社の面接の時に会議室まで案内をしてくれた人だ。

「新しい社員を連れてきた」
「宝条さんですよね?必要な書類と名刺と、編集部に入るICカードは此方です」
「ありがとうございます」

星野さんから書類を受け取り、名刺に自分の名前が記されているのをみて、ついに社会人になったんだなと実感する。

「給与振り込みに必要な書類は経理課に明日までにお願いします」
「はい、分かりました」
「仕事を教えるから編集部に行くよ」

星野さんにペコっと頭を下げて荒木さんに続いて総務課を出て、階段で2階に向かい、廊下を歩いて編集部のドアの前に立ち、荒木さんがICカードを使って鍵の施錠を解除してドアを開いて中に入ったので私も続いて入ったら、部屋の中にいた女性達が一斉に荒木さんをみたので、一瞬たじろく。

ある女性はファイルを抱えたまま荒木さんをうっとりしながら見ているし、2人の女性は声を殺しながらお互いの腕を叩きながら目をキラキラさせて荒木さんを見ているけど、当の荒木さんはこの視線に気づいているのだろうか?さっきの総務課の女性社員達も目がキラキラして荒木さんを見ていたよね。

「入って右側の奥がタウン情報部、目の前4列が俺たちのスポーツ部、残りはファッション部」

うん、視線に気づいてない。

荒木さんに説明されてざっと見渡すと、タウン情報部は姫川編集長が女性社員とぎゃあぎゃあ言い合ってて、ファッション部は大所帯ぽくてスペースも広いなぁ、肝心のスポーツ部は1人の男性がパソコンの前でうたた寝しているだけで誰もいなく、荒木さんははぁと溜め息をついてその男性につかつかと近づいて、右手で思いっきり男性の頭を叩(はた)いた。

「い、痛っぁー、あ、荒木編集長?!おかえりなさい」

叩かれた男性は立ち上がって荒木さんの姿に驚きつつ、挨拶をする。

「今は取材帰りじゃない。今日から入る子を連れてきたから、中畑につけるから製作のやり方を教えて」
「分かりました。先に取材先に行っている田所副編集長から預かった資料と、こっちがB班の最新の原稿でー…」

中畑さんという男性が、次々と紙束を荒木さんに渡していく。
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