スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「次、A班の田所達は6月と7月がメイン?」
「はい。新しくサマーリーグが出来たのですがテレビ局の中継が少ない分、読者にこっちを読んでもらえるよう考えています」
「さっき会議前に海外と日本代表が親善試合を7月に行うって情報を掴んだけど、サマーリーグと期間が被るけど平気?」
「このサマーリーグは自分で情報を掴んだので、代表戦に負けないくらい書くって決めています」
「分かった。俺も野球をメインに動いているのと自分の個人取材が立て込んでいるから、サッカー側は田所に任せるよ」
「分かりました。荒木編集長のページを喰う位に書きますからね」
「手加減しないけど」
「俺だってB班のページ数を付箋に書いた数よりも増やすから、田所には負けないから」

3人のやり取りに会議室の空気が熱くなっていくのが分かる。

「製作も取材班の状況で修正が生じるけど、いつも完璧に仕上げてくれるから信じている。取材班も製作も体調管理はしっかりして、この3か月、全員でやっていこう。以上だ」
「はい!!」

荒木さんの“全員で”、その言葉が休刊を阻止したい皆の気持ちが1つになるし、普段シェアハウスではみられない仕事モードの荒木さんがこんなにも頼もしく感じた。

「荒木編集長、この間返された原稿の訂正と、付箋に書いた6月号に取り上げたい企画書の資料を作ったので読んで下さい」

B班の人が荒木さんに複数の紙束を渡したのをきっかけに、私も俺もと先輩達が次々と荒木さんに紙束を渡していくんだけど、その量が両手一杯になっていく。

「宝条さんも企画を考えてみて」
「わ、分かりました」

大量の紙束を抱えた荒木さんが私に顔を向けて言うけど、企画書ってどうやって書けばいいんだろう?ホワイトボードに書いてある先輩達の企画内容はどれも考えられていて被るわけにもいけないから、メモして自分の企画書を作るときに参考にしようっと。

「今から宝条さんは僕と写真の選定を始めようか。ホワイトボードに書いてあるように、5月号に使う写真はこのファイルの中にあって、表紙用はこれでー…」

中畑さんの隣に座り、写真の保存の仕方や記事ごとに使う写真の場所を教えられ、どの写真もテレビで見るよりも躍動感や迫力もあり、うわ、サッカーボールが蹴り上げた瞬間と選手や観客もボヤけて無いし、テニスなんて打つ瞬間の選手はこんなにも気迫があるんだ。

「この写真は専属の方が撮るんですか?」
「うちは自分達で撮るのが多いかな?ベストなタイミングを逃さないように現場に通い詰めたり、カメラも良いのを貸し合ったりしてるよ」
「専属というか荒木編集長から紹介されたフリーカメラマンの三輪亮二(みわりょうじ)さんだけは、四つ葉にいつも良い写真を提供してくれるよね」
「最初会った時はほんの少しだけ姫川編集長かなと思ったけど、荒木編集長とは仲いいみたいね」
「読者からも三輪さんの写真が好きって言うアンケートが多いかな」

製作班の先輩達が次々と三輪さんの話題をあげていき、確かにこのサッカーのゴール写真は撮影者に三輪さんの名前があり、今後もどんな写真が送られてくるんだろうか。
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