スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
小さい黒いソファに座り、芹澤のリポーターの映像を見ていると本人は凄くい活き活きしていて、今の自分が凄く霞んでしまう。

高坂専務には思いの丈をぶつけてああ言っていたけど、本当に休刊にはならないよね?!でももし3か月で結果が出ず、休刊になったら私は四つ葉にいる意味が無くなるし、そうだ、このシェアハウスを出ていかなくちゃいけないんだよね?て、ことは荒木さんとー…、一気に不安が押し寄せてきた。

「まだ寝てないの?」

振り返ったら荒木さんが居て、いつの間にか帰ってきたんだろう?

「はい。私もさっき帰ってきたばかりなので」
「そう…、お風呂を使ってもいい?」
「どうぞ」

そう言うと荒木さんは立ち去り、リビングにぽつんと私だけになり、そうだ、企画を作ってって宿題を出されたんだっけ。リビングを出て2階の自分の部屋に戻り、バックからメモ帳を取り出してまた1階のリビングに戻り、ソファに座りながら今日のメモをパラパラと振り返った。

先輩達の企画書のタイトルをメモをしたページを読むと、スポーツ選手が読者の質問に答えるコーナーや、スポーツで賞を獲った人のゆかりの地を巡る聖地巡礼だったり、選手の勝負メシだったりとバラエティにとんでいて、これを被らないような企画内容を考えるんだとしたら、どういうのが正解なんだろう?う〜ん、取材班のようにアイディアがぽんぽん出てくるわけじゃないし、企画って難しい…。

リビングのドアが開けられた音がし、青の半袖Tシャツと黒のスウェットパンツ、タオルで頭を拭きながら荒木さんが入ってきて大きな黒いソファに座った。

「会議室で言った、企画は浮かんだ?」
「……まだです」
「会社に入るだけがゴールじゃない」
「はい」
「取材や製作は誰でもやれる」
「はい」
「だけど、素晴らしい雑誌を読んでもらいたい気持ちを持っているなら、最後まで向き合って作らないと駄目だ」
「……はい」

会議室で言った言葉を引用され、かつ、向き合い方を指摘され、最後の返事は小声になる。

「それと…会議で言ったことと重なるけど、入ったばっかりなのにこんなことになって、ごめん」
「次は僕の初めての取材の映像です!」

タオルを頭に掛けたまま、荒木さんが深く頭を下げ、リビングに芹澤の声だけが響いた。
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