スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◆自宅待機の終わりと…
私は自分の荷物が入ったボストンバックを手にして、お母さんとお父さんに振り向いた。

「1週間だったけれど、お母さん達と過ごせて良かったよ」
「いつでも戻ってきて良いんだからな」
「うん」
「また真琴と一緒に料理を作りたいし、高坂専務や荒木編集長を連れて来なさい。たっぷり玉子焼きを作るわ!」
「絶対に連れてくるね!それじゃあ、行ってきます!またね!」

お母さん達に挨拶をして実家を出て、電車を乗り継いで藍山駅を降り立つ。

1週間でこんなにも懐かしく思えるのって不思議で、改札を出て四つ葉に向かい、そして四つ葉のビルを外から見上げ、よしっと気合いを入れて中に入った。

階段で3階まで上がって、先ずは高坂専務に挨拶をと思って専務室のドアをノックして入ったら、高坂専務と橘さんがいて、2人は私にニコッと微笑む。

「1週間、自宅待機を続けてどうだった?」
「学びの多い1週間でした。高坂専務が酔いつぶれたのは想定外でしたけど」

私がそう言うと橘さんはクスっと笑う。

「部下の家にお世話になるくらいだし、暫くはお酒は控えなよ」
「ちぇ〜、美味しい家庭料理だったのになぁ」
「そんなに美味しかったですか?」
「美味しかったよ。ご両親も良い人で温かい雰囲気だったし、温かい家庭料理ってすげぇ羨ましくなる」
「………」

高坂専務は最初は拗ねていたけれど、私の家族の雰囲気をとても羨ましそうに話し、橘さんはそんな高坂専務を黙って見る。

「ご免ね、湿っぽくなった。これから荒木を迎えに行って井上監督の所に行くから、宝条さんはしっかり働いてね」
「はは…、失礼します」

最後の微笑みがちょっと怖いなと思いつつも専務室を後にして、スポーツ部が使っているドアをノックして入った。

「おはようございます!」

自分の席に荷物を置いて、先ずは田所副編集長に挨拶しなきゃ。

「おはようございます!自宅待機が終わって、今日からビシバシと頑張ります」
「ご両親も四つ葉の印象はどうだった?」
「そうですねー…」

私は自宅待機中の様子を話したり、宿題やインタビューの原稿を作っている話しをした。

「1週間で宿題2つか、佐藤はまだ10個の宿題を消化しきれてないんだろ?」
「全く消化しきれてない。やっと3つ目に取りかかれそうだけど、今は7月号が優先だね」
「宝条さんも早速だけど、石毛の清書に取りかかってもらおうかな。内容の変更が幾つかあったみたいだし、中畑さんと確認してね」
「はい!」

私は中畑さん達のもとに行き、改めて復帰したことを伝え、早速ノートパソコンの電源を入れる。

「石毛から預かっているのがこの原稿で、前回の下書きとの違いは付箋で貼ってある箇所からだって」
「分かりました」

中畑さんから原稿を受け取り、改めて石毛先輩の新しい原稿を黙読しながらキーボードを打ち始めた。

今頃仁さんは退院して、井上監督への所に行っているのかな?四つ葉に戻ったら宿題と、インタビューの原稿を読んでもらおうと決め、打ち続ける。
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