スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

シェアハウスに帰宅して、真琴の嬉しそうに本屋での事を聞くと、皆のおかげでもあるから、真琴が編集の仕事をもっと好きになって欲しいなと強く思った。

食事を終えて交代でお風呂に入り、いつもの様にノート書きの時間になり、今日は球宴の特集が組まれていて、集中して鉛筆をノートに走らせる。

真琴はアナウンサーの話しを聞きながら書くのに苦戦はしつつも、最初の頃に比べればノートに埋まっていく言葉が増えていた。

伊東も頑張って取材を続け、7月号のページ数も田所と何度もぶつかりながら確保していたし、俺もシンクロの記事と企画のページを頑張ろう。

アナウンサーが番組の終わりの挨拶をし、真琴がテレビのリモコンを持って俺に顔を向けた。

「見たい番組があって、かえてもいいですか?」
「良いけど」
「ありがとうございます。えっと、確かそろそろ始まる時間でー…、この番組です」

真琴がリモコンを使ってチャンネルを変えて、画面に出てきたのは△テレビのスポーツ番組だった。

『今晩は、本日は我がテレビ局にて放送が決定しています野球の球宴からお届けします。芹澤君、お願いします』
『はい!本日はファン投票の部門にある捕手の候補者達についてです。1人目はー…』
「………」

テレビ画面に真琴の同級生だという芹澤が映し出され、その様子を真琴はじぃっと観ていて、俺は何も言わずに黙ってテレビ画面に視線を送る。

真琴が芹澤に対して何も思ってはいないとわかっているけど、恋人が俺以外の男を観るのも嫌だー…、これって嫉妬か?亮二にもムカついた事があったし、まだ真琴は番組を見続けていた。

「投票って野球の施設かネットなんだ」

真琴は番組で流れている球宴の事をメモをしていて、俺はペンは持たず芹澤をじぃっと見る。

石井選手と亮二は片付いたけど、まだ芹澤がいたか…、佐藤も『危険だから近づかせないように』って言っていたし、暫くは四つ葉の会議室とシェアハウスの往復だから接触は無いけど。

番組の放送が芹澤から別のアナウンサーの話になり、真琴はペンを置いてノートをぱらっと捲る。

「今日、伊東先輩と球宴のテレビ放送の話になりまして、芹澤がいるテレビ局なんだなって思って。そういえば芹澤が野球施設でー…」

そこから真琴が“社会科見学”の時に芹澤にあった話になるけど、俺はそれ以上“芹澤”という名前を聞きたくなくて、自分のノートをバンっと強く閉じると、真琴がビクッとした。

「悪いけど、明日も仕事だから先に寝る」
「は、はい。お休みなさい」

俺は荷物をまとめて先にリビングを出て、階段をドスドスと上がって、自分の部屋のドアを開けて入って、閉めるとその場でしゃがむ。

「みっともない所を見せた」

真琴は悪くはなくて、俺が勝手に嫉妬して真琴を困らせては駄目だなと自己反省しつつ、今真琴の所に行っても戸惑うだろうし、一旦冷静になろう。

荷物をバックにしまい、部屋の灯りを消して、水槽の光が部屋を海のように青く照らしていた。

ベットの掛け布団に入り、天井をぼうっと眺める。

1人だけのベットが広く感じるな…、真琴が俺の腕の中にすっぽり収まっていて過ごすのが当たり前だったけど、なんとなく今は1人になった方が良くて、明日の朝は一緒にご飯を食べれるか?

気まずい…、かといって避けるのも…、悶々として中々寝付けない。

ベットから起きてスマホの時計の時刻を見ると、日付は超えていて午前1時23分を表示させていた。

ベットから降りて、静かに部屋のドアを開けて階段を降りて、リビングのドアを開ける。

真琴の姿はなくて、冷蔵庫の扉を開けて牛乳1本を取り出し、食器棚からコップを取って牛乳を注いで飲み、悶々としていた気持ちが少しだけ落ち着き、ふぅっと息を吐いた。

真琴が起きたら、一緒にご飯を作って、少し話をする時間を貰おうと決めて自分の部屋に戻った。
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